
高齢化が進む日本では、医療や介護業界では人手不足が課題となっています。深刻な人手不足を背景に、現場の業務効率化を目的にICT機器の導入が推進されています。そして「ICT導入補助金」を活用するケースも珍しくありません。そこで今回は、ナースコールシステムの導入時に活用できるCT導入補助金制度について解説します。
ナースコールシステムも対象!ICT導入補助金の概要と目的
ナースコールシステムの導入を考える際に、まず知っておきたいのが「ICT導入補助金」の仕組みです。制度の目的や背景を理解することで、導入に向けた検討をスムーズに進められるでしょう。ICT導入補助金とは何か
ICT導入補助金は、ICTを活用した介護テクノロジーシステム導入の促進によって介護施設や医療機関における業務負担を軽減し、職員が利用者へのケアに集中できるように支援する制度です。国が定める介護ロボット導入支援事業の一環として位置づけられており、事業者が新しいシステムを導入する際の経費の一部を補助してくれます。
ナースコール単体は対象となりませんが、介護テクノロジーシステムの一部として導入する場合は対象となる可能性があります。補助金制度は毎年度更新されるため、最新の制度内容を把握しましょう。
なぜナースコールシステムが対象になるのか
ナースコールは、入居者や患者の安全を守るために欠かせない設備です。しかし従来型のアナログシステムでは、ナースステーションに設置された受話器やランプでしか呼び出しを確認できず、職員の移動や対応に時間がかかることも多いでしょう。ICTを活用した新しいナースコールシステムでは、スマートフォンやタブレットに通知が届き、記録と連動する仕組みを活用できます。システムの導入により、対応スピードの向上、職員の負担軽減、利用者の安心感向上といった効果が期待できます。
こうした点が評価され、補助金の対象に含まれているのです。さらに、記録の自動化によって職員の記録業務が効率化され、残業時間の削減や離職防止につながることも利点といえます。
補助対象・要件は?ナースコールシステム導入で活用できる補助内容
補助金を実際に活用するには、対象となる事業者や要件を理解することが欠かせません。どの範囲まで支援が受けられるのかを確認しておくことで、計画的に導入を進められるでしょう。補助対象となる事業者
ICT導入補助金を活用できるのは、介護保険サービスを提供する法人や事業者です。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス事業所などがおもな対象となります。施設の規模や提供サービスの種類によって補助金額の上限が変動するため、導入前に確認が必要です。また、今後の介護需要拡大を見据え、国としてもICT化を強く後押ししているため、対象となる範囲は年々広がる傾向にあります。
補助金で支援される範囲
ナースコールを介護テクノロジーシステムとして導入する際に、そのシステム構築に必要な費用が補助金の検討対象となります。たとえば、配線工事や本体設置費、スマートフォンやタブレットなどの端末費用も対象に含まれる場合があります。補助率と金額の目安
ICT導入補助金の補助率は事業年度や制度の変更によって変動します。ナースコールシステムは導入規模が大きいこともあり、数百万円単位の費用がかかる場合もありますが、補助金を利用すれば初期投資の負担を軽減できるでしょう。補助額の上限は施設の定員や設備の規模により異なるため、最新情報を確認することが大切です。とくに、中小規模の施設にとっては、補助金の有無が導入を決める要素となるため、活用できるかどうかを早めに調査しておくといいでしょう。
ナースコールシステム導入に向けた申請の流れと注意点
補助金を活用するためには、申請から導入までの流れを正しく理解しておくことが大切です。また、制度には注意点もあるため、失敗しないために事前準備を整えておきましょう。申請の流れ
補助金を利用するには、事前に公募要領を確認し、必要書類を準備することが必要です。まずは事業計画書を作成し、導入するシステムの概要や期待される効果を明示します。その後、自治体や指定された窓口に申請を提出し、審査を受けます。採択された場合、導入・設置工事をおこない、事後に実績報告書を提出することで補助金が交付される仕組みです。書類の準備には専門的な知識が必要なこともあり、システムベンダーやコンサルタントが申請サポートを提供している場合もあります。
注意すべきポイント
補助金はあくまでも申請後に採択されて初めて交付されるため、事前の契約や工事着手は認められない点に注意が必要です。また、導入後に必ず効果検証や報告義務が課せられますので、申請から導入完了までのスケジュールを十分に確保しておくことが大切です。さらに、ナースコールシステムはメーカーやベンダーによって機能が異なるため、補助金対象に含まれる製品であるかどうかを確認したうえで導入を進めましょう。とくに、他のICT機器との連携可否や将来的な拡張性もチェックポイントになります。