
病院や介護施設でよく目にするナースコールシステムは、患者や利用者が困ったときに助けを呼べる大切な手段です。最近では、スマートフォンと連携できるものや、離床センサーとつながるタイプなど、機能も進化しています。この記事では、ナースコールの基本について詳しく解説しているので参考にしてください。
ナースコールの基本とは?
ここでは、ナースコールが押された時の基本的な流れについて解説します。看護師や介護士にとっては日常的に使い慣れたものですが、仕組みを改めて整理してみると、患者や利用者の安全と安心を守るために多くの工夫が盛り込まれていることが分かるでしょう。基本的な流れ
患者や利用者が助けを求めたいときには、ベッドサイドや居室に備え付けられたナースコール子機のボタンを押します。この操作によって、ナースステーションに設置された親機と、スタッフが携帯している端末へ通知が送られます。かつてはナースステーションに常駐する人員が対応するのが一般的でしたが、現在はPHSやスマートフォンと連携できる仕組みが広がっており、スタッフが施設内のどこにいても呼出を受けられるようになりました。
そのため、ステーションを空けていても呼び出しを見逃す心配がありません。呼び出しがあった場合には、廊下灯が点灯します。これは患者や利用者の部屋の入口付近に設置されたランプです。
通知を受けたスタッフは、親機や携帯端末を通じて患者・利用者と通話し、状況を確認します。そして必要なケアの準備を整えてから現場へ向かいます。
ナースコールの呼出が重なった場合や聞こえにくい時の対処法
ナースコールシステムは、患者や利用者が安心して生活を送るために欠かせない仕組みです。しかし実際の現場では、同じタイミングで複数の呼び出しが入ったり、通話の声が聞き取りにくかったりと、利用者が戸惑う場面も少なくありません。こうしたときの仕組みや対処法を知っておきましょう。同時にナースコールを押した場合の対応
基本的には、呼び出した順番に通話がつながるようになっていますが、施設によっては緊急度の高い呼び出しを優先する設定を導入していることがあります。とはいえ、先に呼び出した側も応答があるまで信号は継続するため、そのまま待機するように伝えましょう。同時通話は設定による
ナースコールシステムは、機種に備わった機能やその設定により、同時通話できる回線数が異なります。複数のスタッフが同時に会話できるナースコールもあれば、一度にひとりしか通話できないものもあります。もしひとりのみの機器のケースでは、他の利用者が待機する必要があるため、患者や利用者に「応答は続いているので安心してください」と説明しておくことが大切です。
聞き取りにくい場合には
大部屋で周囲が騒がしい場合や、利用者がナースコールの仕組みを十分理解していない場合、スタッフの声が聞こえにくいと感じることがあります。このような時は、ナースコール子機に備わっているスピーカーやマイクの位置をあらかじめ伝えておくのが有効です。ハンド型の子機であれば枕元や壁側にあるため、耳を近づけて通話すると聞き取りやすくなります。一方、握り押しタイプのボタンは多くの場合、通話機能を備えていません。その場合は壁に埋め込まれた子機で会話ができることを知らせておきましょう。
看護師さんも知っておきたい「無線ナースコール子機」の使い方
ナースコールの多くはコード付きの有線子機が中心で、ベッドサイドや壁に設置されている形をよく見かけます。しかし近年は、無線タイプを併用する施設も増えてきました。場所を問わず通話できる
無線ナースコール子機の最大の特徴は、もち歩ける点にあります。利用者がポケットや首から下げて携帯することで、病室の中や廊下など場所を問わず呼出が可能です。また、設置のしやすさも無線式ならではの利点です。コードが不要なため、部屋のレイアウトや家具の配置に影響されず、比較的短時間で導入できます。転倒リスクを考えて、ベッド周辺のケーブル類を減らしたい場合にも有効です。
バッテリー切れに対する対応や通話品質の検証が必須
無線子機は単体で完結するものではなく、有線式との組み合わせで使うことが基本です。無線タイプはバッテリーで動作するため、定期的な充電や電池交換が必要であり、残量が少なくなると呼出できなくなる恐れがあるため、充電に関する運用ルールの整備が欠かせません。
また、電波環境によっては通話の安定性に差が出る場合があり、施設全体での検証や調整が求められます。
特性を理解して使い分ける
無線子機によるナースコールは「どこからでも呼べる」という強みがあるため、活動的に過ごす患者や利用者にとって大きな支えになります。一方、有線式は安定性や通話機能にすぐれており、緊急時に確実な連絡手段として機能します。そのため、施設全体の安全を担保するためには、両者をうまく使い分けることが大切です。有線タイプの確実さと無線タイプの自由度、それぞれの特性を理解して使い分けましょう。