ナースコールは入院患者と病院・介護スタッフをつなぐ重要な通信装置で、要望や緊急時の連絡、日常の安全確保に使われます。本記事では目的・役割・歴史から最新のシステム進化まで、わかりやすく順を追って解説します。導入の背景や具体的な機能・運用事例、利用時の注意点までカバーしますので、まずはナースコールの基本を押さえましょう。
ナースコールの目的
ナースコールには長い歴史があり、その目的も時代とともに変化してきました。ここでは、ナースコールが果たす主な役割について紹介します。要望や希望を伝える手段
入院中の患者にとって、ナースコールは自分の意思を代わりに伝えてくれる大切な手段です。たとえば、氷まくらを取り替えてほしい、汗で濡れた衣服を交換してほしいといった要望を、看護師や介護士にスムーズに伝えることができます。緊急事態を知らせる役割
ナースコールは日常的な意思表示だけでなく、急変時に助けを求めるための重要な役割も担っています。ベッドだけでなくトイレなどにも設置されており、どんな場所で予期せぬ事態が起きても支援を要請できる仕組みです。また、緊急コールでは看護師が医師に迅速に連絡し、現場に到着する前から治療体制を整えられるという大きなメリットがあります。
安全な入院生活を支える
患者の中には、疾患や認知症により自分でナースコールを押せない方もいます。その場合には「体動ナースコール」が活用されます。これは、患者が動いた際に自動で通知が送られる仕組みで、トイレの立ち座りや手すりに触れたときなど、行動に応じて作動します。このようなシステムにより、患者が安心して安全に入院生活を送れるようサポートされています。
ナースコールの歴史を振り返る
現在では当たり前に設置されているナースコールですが、その誕生には意外な背景があります。ここでは、ナースコールの起源から日本での発展までを振り返ります。ナースコールの誕生
ナースコールの原型をつくったのは、近代看護の母と呼ばれるナイチンゲールです。彼女が病院の開業を任された際、病室ごとに呼鈴を取り付け、看護師が患者の要望に素早く対応できるよう工夫したのが始まりとされています。当時はシンプルな仕組みでしたが、患者と看護師をつなぐ画期的なシステムでした。日本での導入
日本にナースコールが導入されたのは1955年頃といわれています。最初に開発したのは「ケアコム」とされ、日本の病院でも広まり始めました。ただし、当時のナースコールは音声が不明瞭で会話が成り立ちにくいなど、多くの課題も抱えていました。その後、改良を重ねながら機能や性能が向上していきます。日本における進化
1979年には「1ベッド1チャンネル方式」が実現し、患者と看護師が1対1でやり取りできるようになりました。これにより、誰からの呼び出しか分からないといった不安が解消され、より安心できる入院環境が整いました。さらに1999年には「デジタルナースコール」が登場し、音声がクリアになり会話がスムーズに。複数の患者対応も可能になり、看護業務の効率化に大きく貢献しました。
進化するナースコールシステム
デジタル化の進展により、ナースコールも大きく進化を遂げています。ここでは、近年のシステムの特徴や新しい活用方法を紹介します。デジタル化による進化
従来のナースコールでは「○号室の○○さん」といった呼び出し情報しか分かりませんでした。しかし、近年はカルテの内容がナースコールと連動し、患者情報を一目で確認できるシステムへと発展しています。タブレットやスマートフォンからも参照できるため、看護師間での情報共有が瞬時に可能になり、聞き間違いや伝達ミスのリスクが大幅に減少しました。
患者情報を共有するボードソフト
現在では、電子カルテと連動し、患者のその日の予定や処置内容を把握できる「ボードソフト」も活用されています。従来の手書き記録と異なり、書き損じや情報の抜け落ちがなく、より正確なデータ管理が可能です。医師や看護師がリアルタイムで予定を確認できるため、業務の効率化やチーム医療の質向上にもつながっています。
機能が増えても変わらないもの
近年のナースコールをはじめとする病院システムは、多機能化と便利さを増しています。しかし、患者を理解し適切にケアするという「看護・介護の基本的なアセスメント」の重要性は今も変わりません。最新の機能を活用しつつ、人の手によるきめ細やかなサポートを組み合わせることで、患者はより安心して入院生活を送ることができます。